第15章 北野家の者ではない

北野の母の頬に、ぱん、と平手が飛んだ。間髪入れず、二人のボディーガードが前へ出て北野の母を引き起こし、再び掴みかかろうとするのを押さえつける。

床へ放り出された北野の母は、力では敵わないと見るや、昔からの泣き喚いてごねるやり方に切り替え、金切り声を上げた。

「ひどい話だよ! 嫁が姑に手を上げたよ!」

伊原綾音は深く息を吸い込み、ひと言も発さず自分の胸にしがみついている杏を抱き上げた。

北野の母には取り合わず、そのまま玄関へ向かう。北野の母は騒ぐのも忘れて子供を奪い返そうと追いすがったが、ボディーガードに遮られた。

「伊原綾音! その子を連れて行くんじゃないよ! あの子は北野家の人間...

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