第157章 仕方がない

「琉生、この子はどこの家の子だ?」

澄川おじい様が興奮した様子で歩み寄り、杏ちゃんから目を離さない。

杏ちゃんは人見知りなどまるでせず、同じようにじっと見返して、胸を張って言った。

「わたしは、ママの子だよ」

その甘い幼い声に、おじい様の心は一瞬でほどけた。目尻を下げ、穏やかにうなずく。

「そうだ。お母さんの子だ」

その瞬間、おじい様は確信した。この子は伊原綾音の――。

子どもを見つめる眼差しに、言葉にできない翳りが差す。杏ちゃんはぱちぱちと大きな目を瞬かせ、深い瞳の奥をまっすぐ覗き込んだ。

子どもというのは不思議な生き物だ。嬉しい、悲しい、嫌い、好き――そういうものを一目で...

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