第158章 彼女を惑わす

江見瑠璃は伊原綾音に電話をかけ、ホテルから車へ移っても、運転を始めてもなお話は終わらなかった。

「いやー、あのときマジで最高だったんだって。あとで録った動画、送るね」

江見瑠璃は驚きつつも、こっそり撮って親友に見せてやろうとしていた。――昔の借りを返すために。

その「借り」とは、学生時代の学校一の美人投票の件だ。久岡彩愛は負けた腹いせに、陰で綾音の悪口を言いふらした。年月が過ぎ、二人はまた顔を合わせることになる。

彩愛は澄川琉生の子どもまで産んだのに、結局結婚はしてもらえず、それどころか、彼は彼女を追いかけて食い下がる「負けた側」に目を向けたのだ。

「久岡彩愛がさ、自分の息子があん...

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