第16章 澄川琉生を訪ねる

「そこまで持ち上げてくれて、どうもありがとう」

 伊原綾音はおかしそうに笑い、ソファにもたれかかると、焦点の合わない目で天井を見上げた。

 澄川琉生が彼女の才能を見込んでいると言うのなら、まだ信じられる。けれど、女目当てだというのは、どうしても納得できない。

 あの人は、仕事の場に女を介在させることすら嫌うような男だ。そんな人が、女色に溺れるだろうか。

 まして彼ほどの立場の男なら、選ぶのは由緒ある家の令嬢か、名家の娘に決まっている。

 子どもを連れ、しかも夫の家との関係もこじれている自分に、いったい何のうまみがあるというのか。

 だが、江見瑠璃はそうは思わなかった。

「そんな...

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