第163章 彼女が逃れられないもの

澄川琉生は彼女をじっと見据えた。

「俺、何もしてねえだろ!」

「さっき食卓であんなことしたら、先輩が気まずくなるに決まってるでしょ。それに、いきなり私の友達の誕生日会に現れて……何が目的?」

伊原綾音は怒鳴りつけた。本気で怒っている。

川東浬が瑠璃に誕生日の酒を届ける――そんなのは、澄川琉生が宴に顔を出すための口実にすぎなかった。

澄川琉生は鼻先を指でこすった。見抜かれたとわかると、隠す気もないらしい。

「知ってんなら、俺が何したいかもわかってるだろ」

「何がわかってるっていうの。私と先輩は、清い先輩と後輩の関係。あなたが想像してるみたいに汚いものじゃない。だいたい、私たちのこ...

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