第18章 それぞれの思惑

澄川琉生は生まれつきの威圧感をまとったまま目の前まで歩み寄ると、淡々と一声かけた。

「叔父さん」

澄川琉生が岩坂浩一をそう呼んだのは、これが初めてだった。それも人目のある席で。岩坂浩一は目を見開いて固まった。

数秒後には、抑えきれない歓喜が顔いっぱいに広がる。

「ああ、ああ……」

澄川琉生がS市へ戻り、澄川家を取り仕切るようになってから、岩坂浩一は一度ひそかに会いに行ったことがある。だがそのとき、澄川琉生はまともに相手をしなかった。

それが数日前、宴席で鉢合わせた際には、声をかければ反応こそ淡白だったものの、連絡先は残してくれた。

そして今は、こうして叔父さんとまで呼ばれたのだ...

ログインして続きを読む