第29章 距離を置く

少し考えてから、彼女は口を開いた。

「高村さん、とりあえず200万、先にお渡しします。一か月後には手元の資金も回るはずですから、もう200万お渡しします。それで家を買う足しにしてください」

高村は慌ててぶんぶんと手を振った。

「綾音さん、もうこれ以上、お金なんて受け取れません。あなたは今、一人でお子さんを育てていて大変でしょう。それに、これまでも十分すぎるくらい助けてもらいました」

「高村さん、私たちの間でそんな遠慮はなしです。それにちょうど、家のことを見てくれる人が必要なんです。今の二つのお仕事は辞めて、こっちに来て手伝ってもらえませんか。これから先、私は仕事が忙しくなるかもしれな...

ログインして続きを読む