第36章 手伝う

「澄川社長。私、まだ離婚していません。これ以上、北野家に付け込まれる隙を増やしたくないんです」

澄川琉生の顔色がわずかに曇る。

「昨日、あれだけ話したのに、聞いてなかったのか?」

「たとえ受けるにしても、離婚が成立してからでしょう? 今だって、人妻のくせにって散々言われてるんです。それなのにあなたと一緒にいたら、余計にあることないこと言われます」

「つまり、引き受ける気はあるんだな」

澄川琉生がくすりと笑う。

伊原綾音ははっとして足を止めた。

いつの間にか、彼の言葉の罠にはまっていたらしい。

距離を置くつもりだったのに、どうして自分が了承したことになっているのか。

「澄川社...

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