第40章 誤魔化す

澄川琉生は上体をぐいと反らし、椅子の背にもたれた。脚をだらしなく長く伸ばし、両手は膝の上に投げ出す。鋭い気配をまといながらも、怠そうな姿勢が不思議と角を取って、どこか人懐こさすら生んでいる。

細長い目が彼女を横目にとらえ、からかうように笑った。

「そんなに俺らがデキてるってことにしたいのか?」

伊原綾音はその場で顔を曇らせる。

「澄川社長、冗談に付き合ってる余裕はありません」

澄川琉生は気のない笑みを浮かべた。

「俺はただ、あいつに家族をちゃんと抑えておけって釘を刺しただけだ。今のお前は――俺の庇護下にいる」

「庇護下……?」

「違うのか?」

薄い掛け布団の上で、伊原綾音の...

ログインして続きを読む