第45章 毒舌

「どの娘かまでは分からないけど、久岡家が案件を取りに来るなら、伊原南の実の娘を連れてくるのが筋だろ。だって来てるの、伊原南の元教え子なんだし」逸樹が言った。

川東浬は澄川琉生に視線を投げる。「琉生兄、ちょっと向こう覗きに行く?」

澄川琉生は動かず、グラスを傾けたまま。「あいつら、俺が出る価値もない」

「それはそうだけどさ。伊原綾音がいたら――」

「いない」琉生は言い切った。

家で二人の子どもの世話に追われているはずだ。そんな女が、ここに顔を出すわけがない。

一口飲んでから、逸樹に問う。「新市街の美術館案件、久岡家も狙ってるのか?」

「はい。動きが派手です。どうやら本気で獲りにき...

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