第51章 対質

伊原綾音はバッグをぶら下げたまま、鼻でせせら笑った。

「笑わせないで。今さらそんな安っぽい芝居で、情があるふりでもするつもり?」

ひとつ深く息を吸い、さらに言葉を叩きつける。

「これ以上、私の堪忍袋を試さないで。前は私が我慢してただけ。あんたがここまで最低な男だって、知らなかったからよ。知ってたら、こんなになるまで好き勝手させたりしなかった」

「俺が好き勝手しただと? 先に裏切ったのはお前だろうが!」

北野隆也が感情をむき出しにして怒鳴る。

「いいわ。そこまでその話を持ち出すなら、こっちも聞かせてもらう。あの夜、私が電話したとき、どうして出なかったの? どこにいたの?」

きっち...

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