第70章 どう向き合えばいいのか

伊原綾音の体内を駆ける熱は、一度で片がつくようなものじゃない。三十分ほど休んだところで、またぞろ暴れ出し、眠りを許してくれなかった。

伊原綾音は返事をしない。代わりに顔を上げ、彼の唇を探して――行動で答えた。けれど、触れたのは唇ではなく、喉仏だった。

澄川琉生の身体がぴたりと固まる。清宴バーで彼女に誘われたときの感覚が、ぶわりと蘇った。彼は俯きざま、乱暴なくらいに彼女を噛む。さっきよりも、さらに激しく。

やがて満ち足りた澄川琉生が、満足げに腕の中の彼女へ問いかける。

「満足したか?」

伊原綾音はもう力が残っていなかった。口を動かすのすら億劫で、くるりと背を向け、楽な姿勢を作って眠り...

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