第71章 避けたいのか?

そうしたい気持ちはある。けれど今は、タイミングが悪すぎた。昨夜の回数だけで、彼女の身体はもう限界に近い。

湧き上がる衝動を押し殺し、彼は言った。

「送っていく」

伊原綾音は振り返ってベッドサイドのナイトテーブルからバッグを取り上げ、澄川琉生のあとに続いて部屋を出た。

廊下へ出た途端、琉生のスマホが鳴った。胸元から取り出して画面を一瞥し、そのまま通話に出る。

「琉生さん、シーズンホテルの正面に記者が大勢張ってます。正面は無理です、地下駐車場へ。3号エレベーターのところで待ってます」

受話口から千成の声。

琉生の目が沈む。

「わかった」

通話を切ると、彼は綾音へ向き直り、手を取...

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