第76章 体験してみる

午後7時。料亭・栄尚。

伊原綾音が大門をくぐると、仲居に案内され、予約してある個室へ向かった。今夜はデザイン部の面々が全員参加――そう聞かされている。

綾音は分かっていた。歓迎会というより、品定めの席だ。受け止められるか、潰されるか。そのどちらか。

彼女は澄川グループに新設されたデザイン部へ、いきなりリーダーとして送り込まれてきた。それだけでも波風が立つのに、以前、澄川琉生に表向きは締め出されたことまである。どうやって入社したのか。そもそもこの部で生き残れるのか。皆が勝手に想像し、勝手に期待している。

個室の襖を開けると、すでに十数人が席についていた。デザイン部のデザイナーは二十人以...

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