第87章 実力

澄川琉生は会議室にずっと座ったまま、皆の発言に真剣に耳を傾けていた。そして締めの段になって、ひとつ提案を口にする。

「美術館は芸術性を体現する場だ。建築にはそれぞれ個性がある。なら、こちらもこちらの特色を出すべきだろう。H国の要素を取り入れれば、もっと映えるかもしれない」

「澄川社長のご提案、私も同じことを考えていました。ただ、どんな要素を使うのか。それをどう落とし込んで、美術館としての芸術性を損なわずにH国らしさも打ち出すのか。そこが一番の肝ですね」伊原綾音がすかさず受ける。

会議室がすっと静まり返った。

「伊原さんの発想って、すごくH国っぽいのに、S市に置いてもまったく浮かないよ...

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