第94章 欲しいか?

「澄川グループ――」

彼女はぽかんとしたまま、自分の太ももをつねった。痛い。……夢じゃない、ほんとに。

司会者の声が、再び会場に響く。

「澄川グループが、最も有利な入札条件と、最も完成度の高い美術館の設計案により、新市街プロジェクトの落札者となりました。澄川グループの皆さま、おめでとうございます!」

言い終わるや否や、割れんばかりの拍手。人々が一斉に立ち上がる。

澄川琉生も立ち、祝福を受けた。

そして、まだ座っていた伊原綾音もその流れに引っ張られるように立ち上がり、周囲に合わせて手を叩く。

――この瞬間、ようやく現実だと感じた。

本当に、新市街美術館の案件を取ったのだ。

伊...

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