第5章
午後二時、病院のベッドで枕に身を預けて休んでいると、直哉が控えめにノックして入ってきた。彼の手にはタブレットが握られており、その表情に私は嫌な予感を覚えた。
「紗奈、見せたいものがあるんだ」と、彼はベッドのそばに腰を下ろした。その顔は思い悩んでいるようだった。「昨夜、君の家族について調べるために私立探偵を雇った」
心臓が早鐘を打った。「何が分かったの?」
その時、聞き慣れた泣き声が外から聞こえてきた。マジックミラーの窓から外を見ると、外で美和がひざまずき、『私たちが間違っていました』と書かれたプラカードを掲げているのが見えた。亮は廊下に響き渡るほどの音を立てて自分の顔を平手で叩き...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
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