第7章
午前十時、私は直哉に続いて、彼の個人法律事務所へと足を踏み入れた。エレベーターは最上階まで一気に上昇し、床から天井までの窓の外には、白峰市の全景が広がっていた。手のひらに汗が滲んでいた。緊張からではない。興奮からだ。
「準備はいいか?」直哉が私の肩をぐっと握った。
私は頷き、ファイルフォルダーを握りしめた。中には二十年分の証拠だ。録音、写真、診断記録、そして由香里が私の奨学金を妨害した時のビデオが入っていた。
会議室のドアが開くと、高価なスーツに身を包んだ五人の弁護士が待っていた。中心にいたのは、完璧にセットされた銀髪が印象的な四十代の女性だ。
「紗奈、こちらが白川美玲先生。白...
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