第8章

目が覚めると、そこは一面の白だった。

窓の外では、街が暗闇のなかできらめいている。私の周りでは、名前も知らない高価な医療機器が静かな動作音を立てていた。だが、そのどれもが真実を隠し通すことはできない。私は、死にかけている。

「紗奈、起きたのか」直哉の声は疲労でひどく嗄れていた。彼はどれくらいの間、そこに座っていたのだろう。その目は充血し、無精髭が顔を覆い、着ていたスーツはまるでそれで眠ったかのように皺くちゃだった。

話そうとしたが、喉が紙やすりのようにざらついていた。直哉がすぐに水を差し出し、私が少しずつ呷るのを手伝ってくれる。

「専門の先生たちは?」私の声はあまりに弱々しく、...

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