第112章

一ノ瀬美琴は、言葉を失った。

「……どうするつもり?」

「金に決まってるでしょ! このバカ!」

藤原美咲は歯がゆさを隠しもせず、美琴の額をツンと突いた。

「九条湊が誰を愛そうが関係ない。金があんたの手元に入った時点で、それが本物の武器なの。あいつ、一ノ瀬紗月のためにあんたを放っといたんでしょ? なら腹が痛いだの、胎動が不安定だの理由つけて会いに行って、思いっきりふんだくりなさいよ。別荘一棟、現金で何千万。言えば出す。嫡孫のためなら、歯ぎしりしながらでも払うって」

美琴の胸がどくん、と跳ねた。

そうだ。九条湊はいま、彼女を露骨に避けている。ここで回収しなければ、子どもが生まれた瞬間...

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