第117章

彼女は今日は高級メゾンの仕立てそのままのセットアップに身を包み、手には笠木奥様が昨日くれた限定バッグ。いかにも社交界の令嬢といった顔で、顎をこれでもかと持ち上げている。

「一ノ瀬紗月。いま、相当いい気になってるんじゃない?」

一ノ瀬美琴がデスクの前まで来て、見下ろすように紗月を眺めた。声には挑発がべったり貼りついている。

紗月は顔も上げない。指先だけが淡々とキーボードを叩き続ける。

「あなたほどじゃないわ。昨日、笠木奥様のところで見聞を広げたら、今日はもう私のところに自慢しに来たの?」

「嫌味ったらしい言い方、やめなさいよ」

美琴が鼻で笑い、椅子を引いてどかりと座る。手にしていた...

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