第119章

周囲から、いくつもの視線がひそやかに滑ってきた。探るようで、どこか嘲るような――そんな目。

九条湊は奥歯をぎり、と噛みしめる。屈辱が毒蛇みたいに理性を齧り、爪が掌に食い込みそうだった。

場の空気が、いっそう気まずく凍りつく。

一ノ瀬紗月は、九条湊が感情を崩した様子を冷ややかに眺めた。胸の奥は、波ひとつ立たない。

彼が握って痛くなっていた手を、ちょうどいいタイミングで引き抜く。助手から渡された手提げ袋から、箔押しの招待状を一束取り出し、何事もなかったように沈黙を断ち切った。

「三島局長、せっかくお会いできましたので、招待状をお渡ししますね」

紗月は両手で差し出し、柔らかく整った笑み...

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