第13章

一ノ瀬紗月は、九条湊の――図星を突かれて逆上した顔を見て、思わず喉の奥でくすりと笑った。

ほんの小さな笑い声。けれどそれは、毒を含ませた羽根で神経を撫でるみたいに、居合わせた全員の肌をひやりと逆撫でした。冷たく、嘲るように。

神谷蓮はその場の反応を一通り見届けると、こんな出来の悪い家庭劇に混ざる気はないと言わんばかりに、手にしていた支払い票と検査結果をまとめて紗月のベッド脇の棚へ置いた。声だけ落として、彼女にしか聞こえない距離で告げる。

「医者が安静にしろって。何かあったら電話しろ」

それきり九条湊を一度も見ず、踵を返す。入口で泣いている一ノ瀬美琴とすれ違いざま、涼しい顔で病室を出てい...

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