第131章

彼女はすぐさまスマホを取り出し、九条湊に電話をかけた。繋がった瞬間、声は涙混じりに甘えて震える。

「湊……私、ラムールにいるの……。お姉ちゃんと神谷社長が一緒にいるの見ちゃって……同じ個室で……それに、お姉ちゃん、私のこと罵って……」

通話が切れる前に、廊下の奥からバタバタと切迫した足音が迫ってきた。

九条湊は今日、ちょうど一ノ瀬美琴を近くの高級私立病院へ妊婦健診に連れてきていた。ついでに、この店で食事をするつもりだったのだ。

電話越しの言葉を聞いた瞬間、彼は車のキーすら放り出し、階段を駆け上がってきた。

勢いよく個室へ踏み込む。向かい合って座る一ノ瀬紗月と神谷蓮が、真っ先に視界へ...

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