第139章

九条ホールディングス――社長室。

秋丸裕義は、たった今割り出したIP追跡の結果と口座明細を手に、びくびくしながら扉を押し開けた。

「九条社長……出ました」秋丸はタブレットを差し出し、唾を飲み込む。「例の海外口座ですが……一ノ瀬さんに繋がっています」

九条湊は画面の名前を見た瞬間、目の奥の血走りがぱっと弾けた。

――よくもまあ。一ノ瀬美琴。

朝は目の前で、涙をぽろぽろこぼしてみせたくせに。振り向いた途端、外の人間と組んで五百万をゆすり取るつもりだったとは。

俺を、好きに転がせる間抜けだとでも思ったか。

「車を回せ」

湊は勢いよく立ち上がる。声は氷みたいに冷え切っていた。

それ...

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