第147章

一ノ瀬紗月は足を止め、くるりと踵を返した。早足で追いついてきた一ノ瀬美琴を、氷みたいな目で見据える。

「絵を何枚か描いたくらいで、おばちゃんの太いツテにすがれると思わないでよ」

美琴は紗月の前に立ちはだかり、さっきまでの猫をかぶった顔を脱ぎ捨てた。瞳には嘲りと毒がべったり張りついている。

「笠木奥様がちょっと物珍しがってるだけ。自分が玉の輿に乗れるとでも? あんたなんて、九条家から追い出されかけてるくたびれた奥さんでしょ。おばちゃんもそのうち、あんたの本性に気づくわよ」

紗月は、癇癪を起こした子どもみたいな美琴の顔を眺め、口元だけで冷たく笑った。

「乗れるかどうかは、あなたが心配す...

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