第151章

江景の見える高層マンション。

一ノ瀬紗月はバスルームへ入り、服を脱ぐと鏡の前に立った。視線を落とし、自分の下腹を確かめる。

ついこの前まで平らだったはずの腹部に、かすかな丸みが生まれていた。

この子の存在だけは、九条湊に知られるわけにはいかない。

いまの九条湊は、彼女に対して病的な執着を抱いている。妊娠を知れば、狂犬みたいに噛みついて、九条家の中へ鍵をかけて閉じ込めるだろう。

九条百合子もまた、「跡取り」という名目のためなら手段を選ばず、子どもを奪いに来る。

ここを出なければならない。九条湊の視界から、完全に。

翌朝早く、一ノ瀬紗月は荷造りを始めた。

寝室から出てきた九条湊は...

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