第22章

ドアの開く音に、彼ははっと顔を上げた。闇の中、その双眸が彼女を鋭く射抜く。次の瞬間には大股で歩み寄ってきて、まるで問い詰めるような気配をまとっていた。

「どこへ行ってた?」

張り詰めた声だった。あからさまな緊張と疑念がにじむ。

「誰かに会ったのか?」

一ノ瀬紗月は胸の奥で、かすかな嘲りを覚えた。

――誰かに尾けさせていたのか。それとも、彼女の身近に見張りでも置いていたのか。

「友人に会って、少し私用を片づけていただけです」

顔色ひとつ変えずに答える。半分は本当で、半分は嘘。

九条湊はじっと彼女の顔を見つめた。嘘の綻びでも探すように。

紗月の表情があまりにも自然だったからか、彼...

ログインして続きを読む