第33章

「お前に誰かつけてたのは、縛りたいからじゃない。守りたかっただけだ。俺、ずっと思ってたんだ……お前が、このまま俺のそばからいなくなってしまいそうで」

鼻にかかったその声は、まるで捨てられた子どものようだった。腕の中に残った最後のぬくもりを、必死に抱きしめて離すまいとするように。

一ノ瀬紗月は、胃の奥がぐっとせり上がるのを感じた。煙草と酒、それにかすかに甘ったるい香水の匂いまで混じったその吐息が、たまらなく不快だった。

吐き気を堪え、身じろぎひとつせず、ただ冷ややかに言う。

「……それで? それが、私を見張らせていた理由?」

「蓮は危ない男だ、紗月」

九条湊は問いには答えず、勝手に神...

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