第36章

激痛が、潮のように何度も何度も押し寄せる。紗月はソファの上で体を丸め、止めようもなく震えていた。絶望と恐怖に呑み込まれ、どうすればいいのかさえ分からない。

そのとき、ふいにスマホの画面が点いた。空っぽのリビングに、けたたましい着信音が刺さる。

一ノ瀬紗月は半ば反射でスワイプして通話を取った。耳元に落ちてきたのは、神谷蓮の冷えた、それでいて揺るがない声。

「忘れ物、そっちに置いてある。今から取りに行く」

「神谷蓮……」

紗月は喉の奥から、やっとの思いで名前を絞り出した。自分でも気づけないほど、声は痛みと震えに濁っていた。

「……助けて……」

電話の向こうが一瞬で変わる。神谷蓮の声が...

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