第40章

冷たい水が喉をすべり落ちる。妙に、甘ったるい。

ほんの数秒で、ぐらりと眩暈が襲った。目の前がくるくる回り、輪郭が溶けていく。

何かに掴まろうとして――空を切った。力の抜けた身体がずるりと崩れ、意識は真っ黒に沈む。

どれほど経ったのか。

一ノ瀬蘭は、骨身に沁みる寒さにぶるりと震えながら、ゆっくりと目を開けた。

冷たいコンクリートの上。全身が軋み、まるでトラックに轢かれたみたいに痛い。

頭の中は真っ白――けれど次の瞬間、ぼやけた、吐き気を催す映像が破片のようにフラッシュバックし、心臓が跳ねた。

……やられた。

「畜生……! お前ら、畜生だろ!」

蘭は痛みも構わず、がばっと上体を起...

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