第52章

グランドホテルで、一ノ瀬美琴はついに、あれほど執着していたルビーのジュエリー一式を手に入れた。

彼女は夢中でネックレスを首にかけると、鏡の前でくるり、くるりと何度も身を翻した。顔いっぱいに浮かんでいるのは、隠しようのない得意げな笑みと見せびらかしたい気持ち。

「湊、見て。これ、あたしに似合う?」

九条湊の胸にもたれかかり、甘えるように声を弾ませる。

「チャリティー・ガラの日は、絶対これをつけて行くの。みんなに見せてあげなきゃ。あたしこそ、あなたがいちばん可愛がってる女だって」

「いいよ。好きにするといい」

九条湊は上の空のまま答えた。視線は彼女の喉元を飾る鮮やかな赤へと落ち、そ...

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