第62章

一ノ瀬清隆は両手をこすり合わせ、顔面を青ざめさせた。

「お、俺……心臓が落ち着かなくてさ。蘭、俺たち、こんなことして……本当に……本当に正しいのか?」

「今さら何言ってんの!」一ノ瀬蘭が苛立たしげに遮る。「ここまで来たら、引き返せるわけないでしょ。最後まで突っ走るしかないの!」

そのとき――

ドンッ! という鈍い破裂音とともに、邸宅の玄関扉が蹴破られた。

制服姿の警官が十数名、雪崩れ込むように入ってくる。あっという間にリビングは制圧された。

先頭に立つ警部補が冷え切った目で手帳と逮捕状を示す。声には一片の情もない。

「一ノ瀬蘭。一ノ瀬清隆。あなた方を、悪質な誘拐および傷害事件の...

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