第65章

ドアの隙間から覗くと、神谷蓮が上座に背筋を伸ばして座っていた。

今日は深い黒のオーダースーツ。ネクタイの結び目まで寸分の乱れもない。

その手が、分厚い資料を容赦なく会議卓へ叩きつけた。

パンッ――乾いた音が、空気を裂く。

会議室にいる幹部たちは一斉に息を呑み、誰もが俯いたまま、身じろぎひとつしない。

「神谷グループはお前たちを養うためにあるんじゃない。こんなゴミを出すためでもない。クライアントの心を動かせるものが出せないなら、デザイン部は全員、責任を取って辞めろ」

神谷蓮の視線は刃のように鋭い。圧だけで場を支配する、上に立つ者の疑いようのない威厳。

一ノ瀬紗月は廊下で足を止め、...

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