第70章

「謝るなんて言わなくていい」

神谷蓮は彼女をまっすぐ見つめ、眉間にわずかに皺を寄せた。

「江景公寓の警備、まだ甘い。九条湊は今、狂犬みたいなもんだ。今日だって神谷グループに乗り込んできた。明日はマンションの前で待ち伏せして、お前に絡むぞ」

一ノ瀬紗月は黙り込んだ。

神谷蓮の言うとおりだ。九条湊の執着は、もはや理屈の通じる域を超えている。もっと安全な場所が必要――それは否定しようがなかった。

「西山公館に、空けたままのヴィラが一軒ある。あそこのセキュリティは帝都でもトップクラスだ。オーナーの許可がなきゃ、虫一匹入れない」

神谷蓮は紗月の瞳を見据え、誠実で、けれど押しつけがましくない...

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