第71章

一ノ瀬美琴の胸の内が、瞬時にざわめいた。

藤原美咲の言うとおりだ。一ノ瀬紗月さえいなければ、自分には九条湊を丸ごと奪い取る隙がある。

藤原美咲が去って間もなく、九条湊が病室のドアを押し開けて入ってきた。

眉間には深い皺。目の奥には、隠しようもない疲労と苛立ちが沈んでいる。ネットの炎上に振り回され、彼もまた神経を削られているのが一目でわかった。

一ノ瀬美琴は即座に、泣き出しそうな顔を作った。瞳を潤ませ、怯えた小動物みたいに彼の胸へ飛び込む。

「湊……ネットの人たち、私のことばっかり叩いて……怖いの……。住所まで特定するって言われて、病院に来て殴るって……。もう、ここに一日だっていられ...

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