第79章

一ノ瀬紗月は彼を見もしないまま、九条百合子に向かって冷ややかに言い放った。

「でも、今日のはもう冷めてるし、薬効も飛んでると思います。お薬だけ置いていってください。これからは、ちゃんと時間どおりに飲みますから」

九条湊ほどの男が、それを聞き逃すはずがない。紗月の時間稼ぎだと即座に察し、すぐさま流れに乗った。

「ほら、母さん。聞こえた? 紗月は飲むって言ってる。これからは毎日の薬、俺が自分で煎じる。飲むところまで俺が見届ける。それでいいだろ? もう帰ってくれよ、ここで怒って体でも壊したら大変だ」

九条百合子は疑わしげに紗月を一瞥した。だが、紗月の表情に嘘は見えない。加えて息子が大げさな...

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