第87章

ほかの取締役たちも我に返り、惜しみない賛辞を口にした。

「確かに。このデザインは、神谷グループが次の四半期に掲げるブランド刷新の方向性と完璧に噛み合っていますね」

「一ノ瀬さん、まだお若いのに宝飾への理解がここまで深いとは。末恐ろしい」

神谷蓮は議長席の脇に座り、光をまとった一ノ瀬紗月を、深い眼差しで静かに見つめていた。

唇の端が、ほんのわずかに持ち上がる。誇らしさの色――やはり、舞台さえ与えれば、彼女は世界に奇跡を返してみせる。

結果は言うまでもない。

一ノ瀬紗月の『深海の息吹』は満場一致の圧勝で、神谷グループ次期クォーターの中核となる主力商品コンペを勝ち取った。

会議が終わ...

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