第93章

一ノ瀬美琴の瞳の奥に、きらりと鋭い光が走った。間髪入れずに顔を上げ、毅然としていながらも無垢を装った声で言う。

「伯母さま。九条家の潔白のためにも、そして伯母さまと湊さんが心から安心できるように……私、提案があります。明日、妊娠中の親子鑑定を受けましょう」

数日後。帝都でも指折りの私立鑑定センター。

九条百合子はVIPラウンジの本革ソファに腰を沈め、老眼鏡越しに、特急で仕上がった妊娠中親子鑑定の報告書を食い入るように見つめていた。最後の一行――『両者に生物学的親子関係が存在することを支持する』。そこを目にした瞬間、張り詰めていた肩がふっと緩み、取り繕っていた気品は、隠しきれない歓喜へと...

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