第97章

その言い草ときたら、涙と声を震わせて、さも大義名分があるかのよう。

自分を「年上を敬う孝心につけ込まれて騙され、九条家の名誉を守るために歯を食いしばって耐えてきた被害者」に仕立て上げていた。

九条百合子は半生を生きてきた。どんな魑魅魍魎だって見てきた人間だ。こんな粗悪な嘘など、句読点ひとつ信じるものか。

鉱山へ翡翠を買いに行った? そこまで親孝行のつもりなら、どうして正規の宝飾店に行かない。真夜中にホテルへ借用書を受け取りに行った? 笑わせるにもほどがある。

「いい加減にしなさい。そのみっともない芝居、しまいなさい!」

百合子は一ノ瀬美琴の手から衣服の裾を乱暴に引き抜き、泣き言を鋭...

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