第10章 微量毒素

「お父さん、背筋を伸ばして。血の巡りをよくして……ゆっくり吸って、吐いて」

神崎結菜は自ら神崎恒雄の身体を支え、耳元でそっと促した。

言いながら、自然な動作で彼の手首に指を添える。

――脈が、おかしい。

速くなったかと思えば、急に落ちる。一定しない。

恒雄が結菜の言うとおり呼吸を整えると、胸を刺すような痛みは、じわじわと薄れていった。

少し顔色が戻ったところで、結菜は眉を寄せて尋ねる。

「お父さん、いつから?」

傍で見ていた神崎清美が、堪えきれないように口を挟んだ。

「あなたは昔から自分の身体を大事にしないんだから……疲れが溜まってるのよ、きっと」

恒雄は結菜の手の甲をぽ...

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