第103章

「お祖父さま、ご心配をおかけしました」

不破蓮の瞳に、かすかな悔いが走る。

不破総一郎は「ふん」と鼻を鳴らした。

「分かってりゃいい。入れ。飯はできとる」

視線が神崎結菜へ移る。皺の刻まれた顔に、露骨な心配が浮かんだ。

「結菜、腕はどうだ。まだ痛むか?」

「だいぶ良くなりました、お祖父さま」

結菜は袖を少し捲り、包帯の端をちらりと見せる。

「あと二日もすれば抜糸できます」

不破総一郎は頷き、ようやく納得したように背を向けて家の奥へ入っていった。

結菜も蓮の後ろに続き、玄関をくぐる。

リビングは明らかに手を入れられていた。テーブルの角には柔らかな布が巻かれ、廊下には観葉植...

ログインして続きを読む