第百二十六章

「どうしてこんな早く来たのかしら……?」

神崎清美は剪定ばさみを置き、手を洗った。

迎えに出たときには、三ノ宮梢子はすでにリビングのソファに腰を下ろしていた。目の前には、使用人が淹れたばかりのお茶が湯気を立てている。

「朝からどうしたの?」清美は笑って向かいに座った。「来るなら一言くらい言ってくれればいいのに」

「近くを通ったから、ついでに顔を見に来ただけよ」

梢子は顔を上げて微笑み、茶杯を持ち上げて一口含む。視線が清美の顔をゆっくりとなぞり、瞳の奥に、ほんのわずかな異色が走った。

「最近、家のほうはどう? 結菜は? 見かけないけど」

「結菜は結菜で忙しいし、私も私でね。学校も...

ログインして続きを読む