第百二十九章

写真の中身をはっきり認識した瞬間、神崎結菜の胸がひやりと跳ねた。

写っていたのは沢渡詩織だ。白い椅子に縛りつけられ、背後は灰色の壁。どこなのか判別できないほど殺風景で、空間だけがやけに広い。

詩織の目は恐怖でいっぱいだった。意識は戻っているらしい。だが左手の薬指には包帯がぐるりと巻かれ、じわりと血が滲んでいる。

神崎結菜はその包帯から目を離せない。胸の底が、すうっと沈む。以前、神崎家に届いた偽の指――あれが脳裏をよぎった。

まさか……。

写真を裏返すと、パソコンで印字された一行があった。

『彼女には、まだ9本の指がある。明日正午12時、化学工場北門で会え』

神崎結菜は写真を末広...

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