第百三十章

金木幸也は高所へ向かう必要がある。井戸へ降りる役目は、彼女と七海にしか務まらない。

七海は棒付きキャンディをガリッと噛み砕いた。

「なんかさ、自分でフラグ立ててるみたいで嫌なんだけど」

しろが机の上のリンゴをひっつかみ、投げつける。

「縁起でもないこと言うな」

七海はひょいと手を上げて受け止め、かじりついた。

「はいはい、冗談だって。みんな、気をつけようね」

翌朝。

化学工場の北門は、使われなくなった貨物用の通路につながっていた。鉄門は赤錆に覆われ、左右の塀の上には錆びた有刺鉄線。ところどころ、破れた穴が口を開けている。

門前の路面はでこぼこで、雑草が好き放題に伸びていた。...

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