第145章

末広貴子は隊列の最後尾に位置取り、手の中で信号妨害器を握り締めていた。親指はスイッチの上に浮かせたまま。

イヤホン越しに、しろの声が滲む。

「配電室、落とした。カウントダウン3分50秒」

鉄柵は前回と同じ南京錠。末広貴子は油圧カッターを錠のツルに噛ませ、手首に力を込める。ぱきん、と鈍い感触。折れたツルが泥へ転がり落ちた。

柵を押し開けた瞬間、金属の蝶番が、ぎい……と低く長く鳴く。

廊下は前より暗い。

非常灯が二つ死んでいて、残りも天井で、ちら、ちら、と頼りなく明滅していた。

消毒液の匂いが鼻を刺すほど濃い。そこに、鉄錆みたいな湿った生臭さが混じる。

金木幸也が防火扉の前にしゃ...

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