第15章 人のように見えるが、残念ながら貧乏者だ

赤いドレスに身を包んだ女は、作り込んだメイクのまま隣の中年男に媚びるように話しかけていた。口元には愛想笑い。

――その視線が神崎結菜を捉えた瞬間、笑みがぴしりと固まる。眼底に、苛立ちが滲んだ。

沢渡詩織はスーツ姿の男に腕を絡め、3号個室から出たところで結菜を見つけると、ヒールを鳴らして一直線に詰め寄った。

「神崎結菜? あんたがこういう場所に紛れ込めるわけ?」

結菜は軽く目を上げる。

「何か用?」

詩織は勝ち誇ったように胸を張る。

「RENEWAL-7細胞再生剤。150万ドル。今、これ……私の手元にあるの」

にやにやと結菜を見つめ、顔色が変わるのを待っている。

今夜はわざと...

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