第百五十一章

「……あのときは頭が真っ白で、何も覚えてない。でも、あの図だけは覚えてる」

沢渡詩織が視線を上げる。

「不破蓮の母親がこの船にいるなら、閉じ込められるのは最下層だけ。上は実験室とサンプル保管庫……」

神崎結菜は図面を睨みつけた。

「どうして、私に?」

沢渡詩織が自分を憎み抜いていると、結菜は思っていた。

詩織は唇をきゅっと結ぶ。

「……借りがあるから」

「借りなら山ほどある。でも、この図は使える。助かった」

詩織が一拍置いて言う。

「気をつけて。ああいう船は、ロックを一個でも間違えたら船全体に警報が回る」

四時間後。空港へ向かう車中で、不破蓮からの最後のメッセージが跳ね...

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