第152章

神崎結菜はツールバッグから、指向性カッターを取り出した。

「甲板の巡回、交代した。新しく上がってきた連中は左舷へ回った。注意して」

末広貴子の声が、イヤホン越しに届く。

神崎結菜は切断ラインを、じりじりと前へ進めた。削り出された金属片は装置内の磁気吸着で飲み込まれ、床に落ちて音を立てることもない。時間だけが妙に遅くなり、1秒1秒が引き伸ばされていく。

およそ15分後。切断線は一周し、閉じた楕円を描いた。

神崎結菜は切り抜いた金属板をそっと内側へ押し込み、半平方メートルほどの開口部を作る。中には内壁の隔壁。鍵はかかっていない。ごく普通の点検用ハッチだ。

ハッチを押し開けた瞬間、冷気...

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