第23章 彼女がとても気まずいって知らないの?

神崎結菜は二秒ほど迷った末、電話をかけた。

「神崎さん?」

受話器の向こうから、不破蓮の低く人を惑わすような声が返ってくる。わずかに意外そうな響き。

神崎結菜は単刀直入に切り出した。

「不破さん、ひとつ……伝えておいたほうがいいと思うことがあって」

「聞こう」

「ショッピングモールで、誰かが電話してるのを耳にしたんです。不破代表と老爷子の宴会の話で……『チャンスだ』って」

まだ二言三言しか言っていないのに、不破蓮の声がすっと沈んだ。

「今、どこにいる」

「モールです」

「もし都合がつくなら、食事でもどうだ。会って話したい」

神崎結菜は反射的に断りかけた。すると南条葵が、...

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